花茶のクイーン、ジャスミン茶の製造工程

Ⅰ.荒茶製造

生葉摘採(採茶=ツァイチャー)

1芯2葉の若い芽をすべて手で摘みます。

釜炒り(殺青=シャーチン)

生葉に熱を加え、酸化酵素の活性を止めます。大規模工場では、コンクリートミキサー状の炒葉機を用いて炒めます。 日本茶は蒸し製法ですが、中国では一層香り高い茶を得るため、釜炒り製法が一般的です。

冷却

炒った茶葉は高温のまま放置すると、鮮度、香味とも悪くなるため、送風して室温程度まで均一に急速冷却します。

揉捻(揉捻=ロウニェン)

茶葉含有水分の均一化を図るとともに、形を整え、成分が出やすいようにします。

乾燥(烘干=ホンカン)

変質を防ぎ、品質保持を図るため、残留水分を取り除きます。玉解き後、水分含有率14~15%程度まで乾燥させます。

整形

回しふるいで異物を除去し、茶葉の長短を整えます。

乾燥(烘干=ホンカン)

水分含有率4~5%程度まで乾燥させ、多少の火香を付けます。炭火と竹かごを使った焙籠(ベイロン)乾燥(烘焙=ホンベイ)が中国伝統の工法ですが、熱風乾燥を行う所も多くなっています。

冷却

扇風機や長尺ベルトで室温まで冷却します。

荒茶(毛茶=マオチャー)

完成した荒茶は、麻袋に入れられ、仕上げ工場へ売り渡されます。

Ⅱ.花の選別

ジャスミンの花は、中国の各地域で栽培されていますが、中でも福建省のジャスミンの花は香りが強くて長持ちするため、花茶には最適とされています。

Ⅲ.花の香りづけ

摘採・送風

一輪ずつ手で摘採した、開花直前のつぼみ状のジャスミン花を、蒸れないように風通しのよい涼しい場所に広げておきます。

選別

ふるいにかけ、咲きかけのつぼみのみを集めます(開きかけた花が一番強い香気を放つため、開ききった香気の弱い花とつぼみの固い花はふるいによって取り除きます)。

堆積

荒茶とジャスミンの花を幾層にも積み重ねます(緑茶3に対し、花1の割合で)。

香り付け

数時間堆積させることで、緑茶に花の香りを付けていきます。

放熱

花の呼吸熱により45度くらいになったら堆積を崩し、広げて放熱します。温度低下後、再度混ざった状態で集め、香りの均一化を図ります。

分離

香気を失ってすっかりしぼんだ花と緑茶をふるいで分けます(鮮花により少し湿った茶葉を、花香が飛ばないように軽く乾燥させます)。
新鮮な花に取り替え、香りが基準に達するまで3~6の工程を繰り返します。

仕上げ

製品の出荷直前に新鮮な花を少量加え、製品ができあがる(日本向け輸出用は少量の花が加えられますが、国内用は高級なものほど花を加えません)。